2014年10月26日(日)、東札幌・ICC Cross×Gardenで開催したCSS Nite in SAPPORO, Vol.15「先どりWebトレンド2015」のフォローアップとして、鍋坂 樹伸(コマーシャルフォト サン・スタジオ)による「コンバージョンや売り上げ向上に役立つ写真撮影テクニック」の資料を公開します。
スライド/音声
動画
※ デスクトップやタブレットでは、右下の「Vimeo」から、大きなサイズで見られます
フォローアップメッセージ
「コンバージョンや売上げに役立つ写真撮影テクニック」を担当した、サン・スタジオ鍋坂です。
私のセッションでは、撮影前の準備の大切さとカメラの使い方、撮影キットを使った簡単なデモンストレーションをおこないました。
撮影経験が豊富な方はおさらい、これからはじめようとする方には少しむずかしかったかもしれません。
最近はデジタルカメラや照明などの周辺機材が安く手に入るようにはなりました。撮影は道具を使いなれること、構図を考えることで上達します。ただ「売れる」「伝わる」かどうかは、やはりペルソナを立てるなどして、分かりやすい写真を利用者に届けるように注意しましょう。
書籍『Web制作と運営のための 写真撮影&ディレクション教本』は、CSS Niteに参加するレベルのみなさんのために心を込めて書きました。「ディレクションの意味」「カメラの設定や道具の使い方」「実際の撮影紹介」と、章ごとに内容を変えているので、撮影のつど辞典のように繰り返しご覧になっていただけるよう工夫しました。是非、書店で手にとってみてください。
また、どこかの会場でみなさんとお会いできることを楽しみにしております。
ありがとうございました。
アンケートの質問にお答えします。
Q1
地元で信頼できるカメラマンの探し方は?
A1
やはりウェブサイトで検索されるか、お知り合いから紹介いただくのがよいかと思います。特に知り合いからの紹介は、カメラマンの得意ジャンルや納品実績、値ごろ感までわかるのでおすすめです。
念のため2大写真家協会にカメラマンを紹介してもらえるか問い合わせてみました。
公益社団法人 日本広告写真家協会(略称APA)
こちらのほうがWebなどの広告向けの方が多いかと思いましたが、紹介業務はいっさい行っていないとのことです。
公益社団法人日本写真家協会(略称JPS)
表向きには行っていないが、会員のカメラマン連絡を取ってみることは可能です。撮影内容などをお伝えし、何らかの形で連絡をもらえるかもしれないが、早いレスポンスにならない可能性があります、とのことでした。
Q2
カメラマンに安く依頼する方法は?
A2
カメラマンにかかる手間をなるべく少なくすることで交渉の余地が出てくると思います。
今回フォトディレクションについて話をしましたが、撮影作業にかかる負担により撮影費用が変わると考えてよいです。
カメラマンには打ち合わせやロケハン(ロケーションハンティング)には参加してもらい、細かい段取りや小物集めなどみなさんがおこなうなど。カメラマンにかける負担が少なくなることを前提として、希望金額を伝えるようにすれば、応えてもらえるのではないかと思います。
例)モデル撮影をしたいと考えた場合(高い > 安い)
- ロケーション ハウススタジオ > 住宅展示場や美容室、雑貨店の店舗など > 自分やスタッフ知人の家 などが考えられます。
- モデル モデル事務所 > スタッフ > 一般の人(大学生など) が考えられます。
※ できれば「ロケーション」や「モデル」ともに、前者をおすすめします。「餅は餅屋」で費用はかかりますが、費用分のメリットがでてきます。
- 小物や衣装 店などで購入もしくは借りる(小売価格の10~30%支払う) > スタッフ間で持ち寄る などが考えられます。
※ 借りる場合は、媒体、コンセプト、撮影日時と借りる日数、クライアント名を伝え、「怪しい仕事」で使用しないことを誠意を持って伝えると親切です。ただし、汚したり傷をつけたりすると買取、もしくはリース料をアップしなければいけない可能性があります。
Q3
そのカメラ、いくらくらいするんですか?
A3
おおよそ1セット70万円位(定価)かと思います。
本体が約35万円、レンズ約30万円、バッテリーグリップ約4万円です。その他予備バッテリー、記録メディアなどを含めると約70万円になります。
撮影時は必ず同等以上の本体をもう一台、使用用途(焦点距離や特性)のちがうレンズを準備しています。
昔はニコンやキヤノンの上位機種が家電量販店の店頭に並ぶということはなかったのですが、今は価格コムや楽天、Amazonなどでずいぶん安く買えるようになりました。
Q4
費用的にDM(紙)とWeb用で共通の写真を使う場合、撮影時に気をつけることはありますか?
A4
決めうちの写真だけではなく、念のための写真を撮影しましょう。
撮影ラフを準備するという話をしました。基本的にはそれが必須だと思っています。
しかし、使用用途が多岐にわたる場合、次のことに念頭に撮影するとよいでしょう。
- 縦位置(縦長)と横位置(横長)両方で撮影する
- 余白を多めに撮影する
- 別アングルやポーズ、レイアウトを撮影する
このように準備していても、使用できない可能性もあるので、その際は再撮影することになる可能性もあります。
「写真撮影=フルオーダーメイドの作業」と考えると、目標が定まらないので撮影に無駄がでることはお話ししたとおりです。
2015年以降ますます、Web先行で企業の宣伝広告が進むと思います。
「Webで撮影した写真を紙に使ってよ!」という日が来ると思いますので、ぜひみなさんが主導権を握ってください。
Q5
店主などが撮影するメニューなどをよく目にしますが、いかがですか?
A5
お店のブランディングに関わるため、一番「マズイ」パターンだと私は考えます。
次のような見方をする人の話を耳にし、自戒を込めて書きます。
店主は写真を通じ、お客さまとファーストコンタクトをとります。自分本位な写真を掲載し、その写真が美味しくなさそうであれば、お店の品をさげるのはもちろんのこと、店主自身が、ちょっと傲慢に「自分の腕が一番だ」と思っていると判断されかねません。
「わがままな仕事をする人=お客さまのことを考えない料理人」ということですね。
何歳になってもお客さまに最適な、美味しいものを届けられる職人でありたいという姿勢もまた、大切なのだと思います。